中小企業の税金を計算するときには、ざっくり
- 所得800万円以下の部分:23%
- 所得800万円超の部分:34%
で考えるとだいたい近い金額になります。
面倒なら、会社の利益の3割だけ覚えてください。
だいたい、なんとかなります。
例1)所得300万円
- 300万円×23%=69万円
例2)所得1,000万円
- 800万円(800万円以下の部分)×23%=184万円
- 200万円(800万円超の部分)×34%=68万円
- 合計252万円
利益の3割を税金としてよける。
毎月、会社の利益を計算したら、その3割を税金として別の預金口座によけることをおすすめします。
運転資金の口座とは別に納税用の預金口座を1個持っておくと、税金を払うときに慌てません。
例)今月の会社の利益が50万円
- 利益50万円×税率30%=税金15万円
を納税用の預金口座によけておきます。
このほかに消費税がかかる方は、毎月の売上の5%くらいを納税用の預金口座によけておくといいでしょう。
※簡易課税の場合、第5種のみなし仕入れ率が50%で消費税率10%×50%=最大5%の納税になるから。
つまり
- 法人税:毎月の利益×30%
- 消費税:毎月の売上×5%
を納税資金として分けておくわけです。
ひとまずこの記事で言いたいことはここまでです。
このあとは、なぜ中小企業の税率が23%や34%になるのか、について興味がある方だけお読みください。
所得400万円までは約21.4%
どうして23%なのか、34%なのか、ということを知りたい方は、先にお進みください。
<各税金の計算方法>
- A 法人税:所得×15%
- B 地方法人税:法人税×10.3%
- C 法人住民税(東京都):法人税×7%
- D 法人事業税(東京都):所得×3.5%
- E 特別法人事業税(東京都):法人事業税×37%=1.295%
法人税だけなら税率は所得の15%ですが、他にも4種類の税金があります。
この5つの税金をバラバラに計算して税金を求めるよりは
「所得×○%」
みたいに簡単に計算したいですよね。
そこで実務上は、次の算式で「実効税率」を計算しています。
実効税率(所得400万円以下)
={A×(1+B+C)+D+E}÷(1+D+E)
={15%×(1+10.3%+7%)+3.5%+1.295%}÷(1+3.5%+1.295%)
=表面税率22.39%÷104.795%
≒21.366%
※表面税率は、各税率を足したものです。
※法人事業税と特別法人事業税が経費(損金)になり、表面税率よりも多少少なくなるので、最後にこれらの税率で割っています。
まあ、計算式は理解しなくてもいいです。
大事なのは結果です。
所得800万円までは約23.2%
<各税金の計算方法>
- A 法人税:所得×15%
- B 地方法人税:法人税×10.3%
- C 法人住民税(東京都):法人税×7%
- D 法人事業税(東京都):所得×5.3%
- E 特別法人事業税(東京都):法人事業税×37%=1.961%
所得400万円超800万円以下の場合、法人事業税の税率が少しアップする以外は同じです。
実効税率(所得400万円超800万円以下)
={A×(1+B+C)+D+E}÷(1+D+E)
={15%×(1+10.3%+7%)+5.3%+1.961%}÷(1+5.3%+1.961%)
=表面税率24.856%÷107.261%
≒23.173%
所得800万円超は約33.6%
<各税金の計算方法>
- A 法人税:所得×23.2%
- B 地方法人税:法人税×10.3%
- C 法人住民税(東京都):法人税×7%
- D 法人事業税(東京都):所得×7%
- E 特別法人事業税(東京都):法人事業税×37%=2.59%
所得800万円超の場合、法人税率が15%から23.2%に一気に8.2%もアップします。
そうすると、法人税をベースに計算する地方法人税・法人住民税もアップします。
法人事業税もアップしていますね。
実効税率(所得800万円超)
={A×(1+B+C)+D+E}÷(1+D+E)
={23.2%×(1+10.3%+7%)+7%+2.59%}÷(1+7%+2.59%)
=表面税率36.804%÷109.59%
≒33.583%
なんと、所得800万円のときより10%以上もアップしました。
まとめると
- 所得400万円以下:21.366%
- 所得400万円超800万円以下:23.173%
- 所得800万円超:33.583%
扱いにくいので
- 所得800万円以下の部分:23%
- 所得800万円超の部分:34%
と覚えておくと、簡単です。
それでも面倒くさいという方は、
- 会社の利益の3割は税金
だと思ってください。
以上、中小企業の税率についてご紹介しました。
この税率はいろんなところで使いますが、ひとまず今回は税率の計算方法だけご紹介して終わりにします。